『おはよう、NORI。今日もいい天気だね。朝の空、すごく綺麗だよ』
朝一番に届いたショウからのメッセージを見て、私の心は軽やかになった。カーテンを開けて外を見る。
ショウの言うとおり、今朝の空は青く澄んで、とても綺麗に見える。 昨日の彩音との会話で感じた不安も、彼の優しい言葉で少しずつ薄れていく。「おはよう、ショウ。本当に空が綺麗。あなたのメッセージで、いい一日が始まりそう」
返信を送ってから、私は慌てて朝の支度を始めた。最近の私は、ショウとのやり取りが楽しくて、ついつい時間を忘れてしまう。
学校に着くと、彩音が私に手を振ってくれた。
「おはよう、神林さん」
「おはようございます」
昨日の会話以来、彩音は私に対してより親しげに接してくれるようになった。それは嬉しいことなのだけれど、どこか居心地の悪さも感じていた。
彩音の周りを囲む友だちの視線が、私を不審そうに見ているようで少し怖い。授業が始まると、私はいつものように教科書を開いた。授業中なのに、ポケットの中のスマホが振動するたびに、気になって仕方がない。
数学の時間、先生が黒板に向かっている隙に、私はそっとスマホを確認した。『今、なんの授業中?』
ショウからのメッセージに、私は小さく微笑んだ。
「数学。でも全然わからない」
『僕も数学は苦手だったよ。でも、NORIなら大丈夫。君は頭がいいから』
頭がいい。そんな風に言ってくれる人は、ショウが初めてだった。
つい口元が緩んでしまう。「そんなことないよ。でも、ありがとう」
『今度、一緒に勉強しない? チャットで問題を出し合ったりして』
一緒に勉強。それは私にとって、とても魅力的な提案だった。
たまに図書室や図書館で見かける、一緒に勉強をしているカップルを見かけることがある。その姿が、とても幸せそうに見えて羨ましいと思っていたから。「それ、すごく楽しそう!」
メッセージを送った後、私は周りを見回した。誰かに見られていないか、少し不安になった。でも、みんな授業に集中しているようで、私のことを気にしている人はいないようだった。
昼休み、私は彩音に誘われて、また一緒にお弁当を食べることになった。
「神林さん、今日も楽しそうね」
彩音は微笑みながら言った。
「そうですか?」
「うん。なんだか、いつもより輝いて見える」
その言葉に、私は頬が熱くなった。彩音が褒めてくれるのが恥ずかしくて仕方ない。
「昨日話してた人からメッセージでもあったの?」
彩音は意味深に笑った。
私は慌てて首を振った。「別に、そんなことは……」
「いいじゃない、隠さなくても。恋する女の子の顔してるもの。それに時々、とても嬉しそうにしてるでしょ?」
彩音は私の肩に手を置いた。
恋する女の子。そんな風に言われて、私の心は複雑な気持ちになった。嬉しいような、恥ずかしいような。 彩音は続けた。「それで? やっぱり会わないの? せっかく好きになったんだから、一度くらい会ってみたらいいのに」
「それは……」
「もしかして、相手の人も会いたがってるんじゃない?」
彩音の言葉は、私の心の深いところを突いた。確かに、ショウは何度か会いたいと言ってくれている。でも、私はいつも曖昧に返事を濁してしまう。
「怖いんです。もし会って、がっかりされたら……」
「がっかりなんてしないよ。神林さんはとても素敵な人だもの」
彩音は優しく言った。
その優しさはじわじわと私を苦しめる。美しい彩音から見れば、私の悩みは取るに足らないものなのかもしれない。彩音ほど美しくなくても、私もせめて普通の顔だったら良かったのに。それならこんなに苦しい思いはしなかっただろうし、もっと純粋な気持ちで彩音の言葉を受け取れただろう。放課後、私は急いで家に帰った。ショウからの新しいメッセージが気になって、早く返信をしたいと焦ってしまう。
『お疲れさま、NORI。今日は楽しい一日だった?』
「うん、まあまあかな。ショウは?」
『君からメッセージが来るだけで、僕の一日は最高になるよ』
胸がキュンとなる。
そんな風に言ってくれるショウが、私は心から愛おしかった。「今度、電話で話そうって言ってたよね。あのね、私もそうしたいな、って思って」
私は思い切って、そう送った。
『本当に? 嬉しいな。いつがいい?』
「今度の日曜日の夜はどうかな?」
『もちろん大丈夫だよ! 楽しみにしてる』
電話の約束をしてしまった。ショウの声を聞くのは初めてだ。どんな声なのだろう。優しい声なのだろうか。私も楽しみでたまらなくなる。
『僕、NORIの声を聞くのが、今からとても楽しみ』
まるで私の心を読んだかのように、ショウからメッセージが届いた。
夜、私は部屋でショウとのやり取りを、長い時間楽しんだ。今日あった出来事、好きな音楽、将来の夢。話題は尽きることがなかった。気がつけば、あっという間に何時間も経っている。
『NORIと話してると、時間を忘れてしまう』
「私も同じ。こんなに話が合う人に出会えるなんて、思わなかった。楽しい時間って、本当にあっという間に過ぎるんだね」
『うん、本当にそう思う。僕たち、きっと運命的な出会いをしたんだね』
運命的な出会い。そんな大げさな言葉なのに、私はそれを素直に受け入れることができた。
「でも、変だよね。会ったこともない人を、こんなに大切に思うなんて」
『変じゃないよ。心で繋がってるんだから』
心で繋がっている。その言葉が、私の胸に温かく響いた。
「ショウ」
『なに?』
「ありがとう。あなたに出会えて、本当に良かった」
『こちらこそ。君がいてくれるから、僕は毎日が楽しいんだ』
そのやり取りの後、私たちはしばらく無言でいた。でも、それは気まずい沈黙ではなく、お互いの存在を感じ合っているような、心地よい静寂だった。
『そろそろ寝ようか』
ショウから提案があった。
「うん。でも、もう少しだけ話していたい」
『僕もだよ。でも、明日も学校があるでしょ?』
確かにショウの言うとおり。困らせてはいけない。名残惜しいけれど……。
「そうだね。おやすみ、ショウ」
『おやすみ、NORI。素敵な夢を見てね』
スマホを閉じたあと、私は布団に入りながら今日一日を振り返った。
朝のショウからのメッセージで始まり、授業中のこっそりとしたやり取り、そして夜の長い会話。
私の一日は、完全にショウを中心に回っていた。
学校での嫌なことも、ショウとの時間があるから耐えられる。家に帰って彼からのメッセージを読むのが、私の一日で一番幸せな時間だった。
けれど、この関係がいつまで続くのかという不安も、どうしても消えることなく心の片隅にあった。ショウはいつか、会いたいと言うだろう。そして私は、そのとき、どうすればいいのかわからない。何度も何度も、繰り返し同じことを考えて心配するけれど、答えは見つからない。
この幸せな時間が、永遠に続けばいいのに。
そんな願いを込めて、私は眠りについた。翌日の学校で、私は大きな失敗を犯してしまうことになる。
それは、この秘密の時間が、もう秘密ではなくなってしまう瞬間の始まりだった。スマホの画面を見つめながら、私は震える指で文字を打ち続けていた。もう何時間も、この一通のメッセージを送ることができずにいる。「拓翔へ。これが最後のメッセージになります」 削除して、また打ち直す。何度繰り返しただろうか。でも、もう私は決めていた。この関係を終わらせると。 昨日から、拓翔は必死に私を慰めようとしてくれている。『写真を見たけど、紀子は僕が思っていた通りの優しい人だよ』『容姿なんて関係ない、紀子の心が好きなんだ』『今度こそ、直接会って話そう』と。 優しい言葉の数々。きっと、彼は本当にそう思ってくれているのだろう。でも、その優しさが、逆に私の心をえぐるのだ。 私は醜い。それは紛れもない事実。鏡を見るたびに、自分でも嫌になるほどの容貌。そんな私を見て、本当になにも感じないなんてことがあるだろうか。きっと、拓翔は優しいから、私を傷つけまいと嘘をついてくれているに違いない。「拓翔、今まで本当にありがとう。拓翔と話してきた時間は、私にとって宝物でした。でも、もうこれで終わりにします」 送信ボタンに指を置いたまま、動けない。これを送れば、もう二度と拓翔と話すことはできない。この数カ月間、私の心の支えだった彼との関係が、完全に終わってしまう。 けれど、あんなことがあった以上、もう続けることはできない。現実を知った今、このままでは私たちの関係は嘘になってしまう。 私の指が、送信ボタンをタップした。 震える指で、続きの文字を打つ。「会わない恋人なんて、やっぱり無理だったんです。私たちは画面の向こうの存在のままでいるべきでした。リアルな私を知ってしまった今、拓翔が私に向ける優しさは同情でしかありません」 涙が画面に落ちて、文字が滲む。「私は、あなたに同情されるのが辛いんです。本当の恋人同士だったら、こんなことで関係が変わったりしないはず。でも私たちは違う。画面越しの、美しい幻想の中でしか成り立たない関係だったんです」 ここで一度手を止める。本当にこれでいいのだろうか。拓翔の気持ちを信じてみることはできないのだろうか。 何度考えても無理だ。彩音
翌日の朝、私は昨夜の出来事が夢だったのではないかと思った。 拓翔との電話。お互いの愛の告白。改めて、恋人として付き合っていけるという現実。 すべてが信じられないほど美しくて、温かい。 学校に向かう道のりで、私は何度もスマホを確認した。拓翔からの『紀子、おはよう。愛してる』というメッセージが、本当にそこにあった。「おはよう、拓翔。私も愛してる」 返信を送ると、すぐに返事が来た。『今日も一日頑張ろうね。紀子がいると思うだけで、なんでも乗り越えられる』 その言葉に、私の心は温かくなったのと同時に、不安もまた大きくなった。 教室に入ると、昨日のことを思い出して足がすくんだ。彩音はもういつものように席に座っていて、私を見ると意味深な笑みを浮かべた。「おはよう、神林さん」 彩音の声は昨日と変わらず甘い。でも、その目には昨日と同じ冷たい光があった。「昨日はごめんなさいね。ちょっとやりすぎちゃったかな?」 彩音の謝罪は、心がこもっていなかった。私は彼女を無視して自分の席に向かった。 休み時間になるたびに、私はいつものように、こっそり拓翔とメッセージを交換した。昨日、お互いの気持ちを確認し合った。そう思うだけで、胸がドキドキした。『紀子、大丈夫? 昨日のこと、学校でなにか言われてない?』 拓翔の心配そうなメッセージに、私は少し罪悪感を覚えた。「大丈夫。拓翔がいるから」 本当は大丈夫じゃなかった。今日は彩音になにもされていないけれど、クラスメイトたちの視線が気になって仕方がなかった。昨日のことで、私を変な目で見ている人もいる。 昼休み、拓翔から電話がかかってきた。私は人目のない場所を探して、階段の踊り場で電話に出た。『紀子?』「うん」『声を聞けて安心した。今日は大丈夫?』「大丈夫」 私は嘘をついた。本当は辛くて仕方がなかった。クラス中が敵のように思えるほどなのに。『本当に? なんだか元気がないみたいだけ
僕は部屋で一人、スマホの画面を見つめていた。 数時間前に送られてきた写真。そして、そのあとに続いた紀子からのメッセージ。『ごめんなさい』『これが、本当の私です』 写真の中の少女は、確かに一般的な美人とは言えなかった。でも、僕が感じたのは失望ではなく、むしろ安堵だった。 なぜなら、僕自身も容姿にコンプレックスを抱えていたから。小柄で、クラスメイトからは「チビ」とからかわれ続けてきた。 紀子が美人だったら、きっと僕なんかには見向きもしなかっただろう、そう思うとホッとしている自分がいる。 でも、それ以上に僕の心を動かしたのは、紀子の勇気だった。 あんなにも自分の容姿を嫌がって、会うことすら躊躇っていたのに。 自分の一番見せたくないだろう部分を、僕に見せてくれた。それがどれほど辛いことか、僕には痛いほどわかる。 それなのに、紀子はどうして突然、写真を送ってきたんだろう。「紀子、話そう」 僕はメッセージを送った。返事は来ない。 もう一度、メッセージを送る。「紀子、今から電話で話さない?」 僕は思い切って提案した。今まで文字でしかやり取りしたことがなかったけれど、今はどうしても声が聞きたかった。 日曜日に電話をする約束をしている。だけど、その前にどうしても話したい。 スマホが震え、紀子から返信が届いた。『ごめんなさい……私は拓翔に嘘をついてた』「そのこと。ちゃんと話そう。二人で」 しばらくして、チャットアプリの着信音が鳴った。僕は慌てて電話に出る。「もしもし」『あ、えっと……』 紀子の声は小さくて、震えていた。でも、とても優しい響きだった。「紀子?」『うん』「初めて声を聞けて、嬉しい」 文字とは違う言葉のやり取りに、胸の奥が温かくなってくる。 電話越しに、小さなすすり泣きが聞こえた。『拓翔、本当にごめんなさい』「なんで謝るの?」
「やめてよ……」 私の声は掠れていた。彩音の最後の言葉が、私の心臓を鷲掴みにしている。「本当のことを教えてあげない?」 その言葉の意味を理解した瞬間、私の世界が真っ暗になった。 彩音は私が醜いということを、拓翔に伝えようとしている。「お願いだからやめて! なんでそんな酷いことをするの!」 私は彩音に向かって手を伸ばした。でも、彩音は私のスマホを高く掲げて、私の手の届かないところに持っていく。「神林さん、そんなに必死にならなくてもいいじゃない」 彩音の声は甘いけれど、その目は冷酷だった。「酷いことだなんて、相手の人も知る権利があるでしょ? 付き合ってる人がどんな顔なのか」「付き合ってない!」 私は叫んだ。でも、それは嘘だった。少なくとも私の心の中では、今は拓翔と恋人同士なんだから。「へえ、そうなの? じゃあ、なおさら問題ないじゃない?」 彩音は私のスマホの画面を操作し始めた。私は血の気が引いていくのを感じた。「なに……してるの?」「写真を撮るのよ。神林さんの可愛い顔をね」 その瞬間、私は理解した。彩音がなにをしようとしているのかを。「だめ!」 私は彩音に飛びかかった。でも、彩音は素早く身をかわした。私はバランスを崩して、机に手をついた。「みんな、手伝って」 彩音がクラスメイトたちに向かって言った。彩音と仲が良い何人かの生徒が私を取り囲む。私は逃げ場を失った。「もういい加減にして! スマホを返してったら!」 私は涙声で懇願した。でも、彩音は聞く耳を持たなかった。「はい、こっち向いて」 彩音は私のスマホのカメラを私に向けた。私は必死に顔を隠そうとしたけれど、クラスメイトたちが私の手を押さえた。「神林さん、そんなに嫌がることないじゃない。ちょっと写真を撮るだけよ」 彩音の声は、まるで私のためを思っているかのよ
翌日、昼休みの教室で、私は一人で弁当を食べていた。いつものように隅っこの席で、できるだけ目立たないように身を縮めて。「ねえ、神林さん」 突然声をかけられて、私は箸を持つ手を止めた。振り返ると、またしても彩音が立っていた。その美しい顔に、いつもの意地悪な笑みを浮かべて。「なに?」 私の声は震えていた。昨日のことがあって、こんなふうに話しかけられても、警戒心しか湧いてこない。「昨日からみんな、ずっと気にしてるんだけど、神林さんってネットの恋人とメッセージのやり取りをしてるでしょ?」 そう言って、彩音は私の隣の席に勝手に座った。周りのクラスメイトたちがこちらを見ている。私は急いでスマホを隠そうとしたけれど、その手を掴まれた。「みんな、内容が気になるんだって」 彩音の声には、悪意をまとった響きがあった。クラスメイトたちのほとんどが、私と彩音のやり取りを見ている。「そんな……みんなが気にするようなこと……なにもないから」「へえ、そうなんだ」 彩音は立ち上がると、私の後ろに回り込んだ。そして、突然私の肩に手を置いた。「でも、今日も授業中こっそり見てたでしょ? 今度、先生にバレたら大変だよ?」 その瞬間、彩音の手が私のスマホに向かって伸びた。私は反射的にスマホを胸に抱え込む。「触らないで!」「なに隠してるの? そんなに必死になることないじゃない」 彩音の声は甘いけれど、その目は冷たかった。私は立ち上がって彩音から距離を取ろうとしたけれど、彩音は諦めなかった。「みんな、神林さんがチャットのやり取り、見せてくれるみたいよ」 彩音の声が教室に響くと、周りのクラスメイトたちがざわめき始めた。私は顔が真っ赤になるのを感じた。「やめてって、何度も頼んでるじゃないですか」 私の声は涙声になっていた。でも、彩音は止まらない。「そんなに隠すなんて、よっぽど恥ずかしいメッセージを送ってるとか?」
一夜明けて、私は重い足取りで学校に向かった。 昨夜は一睡もできなかった。彩音に秘密を知られてしまったことが頭から離れず、拓翔とのメッセージのやり取りも、いつもの楽しさを感じられなかった。『紀子、今日は大丈夫? 僕はずっと君のことを考えてた』 朝一番の拓翔のメッセージに、私の心は少しだけ温かくなったけれど、不安のほうが大きかった。「正直、怖い。桧葉さんがなにをするかわからないから……」『なにかできることはないか、って考えてるんだけど、いい案が思いつかなくて。話を聞いてあげることしかできなくて、本当にごめん』「拓翔が謝る必要なんてないよ。考えてくれていることが嬉しい」『もしなにかあったら、すぐに連絡して。僕もなにか方法を考えるから。一人で抱え込まないで。いいね?』 拓翔の優しさが、今は逆に辛い。彼にはなにもできないことがわかっているから。それでも拓翔を安心させたくて「うん」と返事を送った。 教室に入ると、彩音はいつものように友だちと楽しそうに話していた。私と目が合うと、彼女はにっこりと笑って手を振った。 その笑顔が、私には悪魔の微笑みに見えた。 一時間目の授業が終わると、彩音が私の席にやってきた。「おはよう、神林さん。今日も彼氏とメッセージしてるの?」 小さな声だったが、その言葉に私は凍りついた。クラスの誰かに聞かれたらどうしよう。「そんなの……桧葉さんは気にしないでください」「昨日はごめんね。でも、本当に面白いものを見せてもらったわ」 彩音の目が意地悪く光る。「お願い、誰にも言わないで。お願いだから」「う~ん、どうしようかなぁ……」 彩音は指を唇に当てて、わざとらしく考えるポーズをした。 意地悪なことを言っているのに、そんな顔も仕草も綺麗に見える。「それにしても、神林さんって意外と積極的なのね。『愛してる』なんて、恥ずかしいセリフをメッセージで送り合うなん